2024/07/18 22:44

道は風景と共に流れ、心地よい音楽が車内を満たしていた。彼女は窓を少し開け、頬に当たる風を楽しみながら旅先のお寺へと向かっていた。カーブが続く山道を抜けると、目の前には荘厳な山門が現れた。

車を停め、二人はお寺の境内へと足を踏み入れた。静寂の中、砂利道を歩く音だけが響く。木々の間から差し込む陽光が、美しい模様を描いていた。彼は彼女の手を取り、参道をゆっくりと進んだ。

本堂に着くと、二人は並んで座り、静かに手を合わせた。彼女は目を閉じ、心を静める。お寺の静かな空気が、二人の心を穏やかに包み込んだ。彼の視線が彼女に向けられ、彼女もそれを感じていた。

参拝を終え、境内を散策することにした。美しい庭園や歴史を感じさせる建物が並び、その一つ一つに目を奪われた。彼は彼女の手を引き、奥まった小径へと誘った。そこにはひっそりとした茶室があり、二人だけの静かな時間が流れた。

茶室の縁側に座り、彼女は景色を見つめながら、「ここ、素敵ね」とつぶやいた。彼は彼女の隣に座り、「そうだね。君と一緒に来れてよかった」と優しく応えた。その言葉に、彼女の心は温かくなった。

夕方になると、境内は柔らかな夕陽に包まれた。彼は車に戻る前にもう一度、本堂を見上げ、「また来よう」と彼女に微笑んだ。彼女も微笑み返し、手を繋いで車へと戻った。

ドライブが再び始まり、山道を降りる。二人の心には、旅先のお寺で過ごした静かなひとときが、温かい記憶として刻まれていた。車のエンジン音が夜の静けさを切り裂き、次の目的地へと向かう中、彼らの絆は一層深まっていった。