2024/07/06 20:04

放課後の校庭は、青春の匂いが漂っていた。夏の太陽がじりじりと照りつけ、汗が滲む制服が少しだけ重たく感じられる。友達と別れた後、彼は一人で教室を出て、下駄箱に向かって歩き出した。

下駄箱の前に立つと、彼はふと窓の外を見た。夏特有の急な通り雨が降り始めていた。太陽はまだ輝いているのに、雨粒が地面を叩き、空気が一気に涼しくなった。

「雨か…」と呟きながら、彼は下駄箱から靴を取り出し、履き替えた。学校の外に出ると、雨は少しずつ小降りになり、彼はそのまま歩き始めた。雨に濡れる道を歩くのは、意外と気持ちが良かった。

通り雨の後、夏の夕焼けが美しく広がり始めた。彼はその光景に心を奪われ、足を止めた。空には虹がかかり、全てが鮮やかに輝いていた。

その時、彼は心の中で何かが動き出すのを感じた。青春のひとコマとして、この瞬間が永遠に記憶に刻まれるだろうと思ったのだ。雨に濡れた道、夕焼けに照らされた景色、そして静かに流れる時間…。

「また明日も、ここに戻ってくるんだな」と心の中で呟き、彼は歩き出した。夏の終わりが近づく中で、放課後の静けさと通り雨の清涼感が、彼の心に深く染み込んでいった。