2024/07/02 21:19

夜の終電が近づく頃、彼女は急いで駅に向かっていた。ハイヒールの音が静かな街に響き渡る。今日は仕事が長引いてしまい、最終電車を逃さないように必死だった。

駅にたどり着くと、彼女はギリギリで終電に乗り込んだ。安堵の息をつき、席に座る。バッグからビニール袋を取り出し、中に入っていた書類を確認する。今日は大事なプレゼンの資料を持ち帰る必要があったのだ。

電車が駅に着くと、彼女はいつも通りの帰り道を歩き始めた。道は静かで、街灯の明かりがぼんやりと照らす中、彼女はふと気づいた。隣人の家の明かりがまだついていることに。隣人は普段、早寝早起きのタイプで、こんな時間に起きているのは珍しかった。

家に帰ると、彼女は疲れを癒すためにお風呂に入ることにした。湯船に浸かりながら、隣人の家の明かりが気になって仕方なかった。まるで何か秘密が隠されているかのように感じたのだ。

お風呂から上がり、リラックスした彼女は天井を見上げながらベッドに横たわった。しかし、頭の中では隣人のことがぐるぐると回っていた。何か不自然なことが起きているのかもしれない。

翌朝、彼女は仕事に向かう前に隣人の家を覗いてみることにした。玄関のドアが半開きになっており、中からはかすかに人の声が聞こえた。好奇心に駆られた彼女は、そっと近づき、耳を傾けた。

「これで全て片付けたわね」と聞こえた声は、隣人のものだった。しかし、続く言葉に彼女は凍りついた。「後は、証拠を処分するだけ。」

彼女は一瞬のうちにその場を離れ、自分の家に戻った。心臓が早鐘を打ち、全身に冷たい汗が流れた。隣人が何か恐ろしいことを企んでいるのかもしれない。

その夜、彼女は警察に連絡するかどうか迷いながら過ごした。ついに決心し、通報することにした。警察が到着し、隣人の家を調査すると、驚くべき事実が明らかになった。

隣人は、彼女の知らない間に違法な活動に関与していたのだ。隣人の家からは大量の偽造書類と証拠品が発見され、隣人は逮捕された。

彼女は、自分の好奇心が事件を解決する一助となったことに驚いた。静かな帰り道と、終電の中で感じた違和感が、思わぬ形で真実に繋がるとは夢にも思わなかった。